スペインが金メダルを獲得したパリ五輪男子サッカーを振り返ってみて

海外サッカー

パリ・オリンピックが閉幕し興奮冷めやまない国内ムードではあるが、ここはひとつ男子サッカーにフォーカスし2年後のW杯をプレビューしてみよう。

ちなみに金はスペイン、銀はフランス、銅はモロッコとなりいづれの国も2年前のカタールW杯に出場し、2年後のW杯も本戦出場してきそうな日本と対戦するかもしれない国々である。

育成年代における今大会の結果だけを見ればこの3カ国は成果あげたと見て良いであろう。

日本以外の国は育成と結果を同時進行で求めた大会

日本以外の参加国はオーバーエイジ枠を使いメダル獲得に全振りした。

決勝戦となった地元フランスとスペインは現在ヨーロッパ圏内において2大勢力で育成と結果がマッチした好例といえよう。

試合自体もファイナルにふさわしく延長戦までも連れ込む接戦だった(5−3でスペイン勝利)。

32年ぶりの金メダルということなので92年のバルセロナ・オリンピック以来ということになるスペイン。

94年に行われたアメリカW杯でもスペインはバルセロナ・オリンピック金メダルメンバーから5人(カニサレス、フェレール、ルイス・エンリケ、グアルディオラ、アベラルド)をA代表に送り込んでいるが結果はベスト8でイタリアに1−2と惜敗し結果は伴わなかった。

育成年代の強化とA代表の強化は永遠のテーマ

当時のスペインはヨハン・クライフが監督を務めるFCバルセロナの全盛時代で92年は初のチャンピオンズカップ制覇もしており文字通りバルサ中心のスペイン代表だった。

当時よく言われていたのがスペインのベスト4の壁だった。

ユーロおよびW杯でもベスト8までは勝ち上がっていけるがそこから先に勝ち上がっていけないのがスペイン。

ピチーチ
ピチーチ

80年代、90年代のスペインは好チームではあるが強いという印象はない。当時ヨーロッパで強国と言われていたのが西ドイツ、イタリア。

スペインが本当の意味での最強国となるのは2000年代に入ってからということになる。

クラブチームレベルではレアル・マドリード、FCバルセロナがヨーロッパを世界を席巻するが代表レベルで言えば花を咲かせたのは2008年のオーストリア・スイス共催のユーロ優勝からであろう。

その2年後の2010年南アフリカW杯優勝、2012年ポーランド・ウクライナ共催のユーロ優勝と3大会連続で主要国際大会を制している。

この辺りが歴史的に見てスペインサッカーの頂点であろう。

チャンピオンズリーグの成績を見ても2005ー06はFCバルセロナ、2008−09もFCバルセロナ、2010−11もFCバルセロナ、2013−14がレアル・マドリードとA代表とクラブチームの好成績が見て取れる。

ここから下り坂を降りるようになり低迷期(とは言っても世界トップレベルにおいての話)を迎えての今年2024年のユーロ優勝とオリンピック優勝。

代表レベルは順調に強化が進んでいるスペインではあるがクラブチームレベルではレアル・マドリード1強になりつつ、UEFAランキングでも今季から3位と後退してしまった。

要はレアル・マドリード以外のクラブが低迷しているということの証でもある(今年のチャンピオンズリーグはレアル・マドリードが通算15度目の制覇達成)。

今大会の日本を振り返ってみて

パリ・オリンピック前は日本のメディアはこぞって男子サッカーにメダル獲得を煽っていたように見える

決勝トーナメント1回戦でスペインと戦い0−3の敗北となったが結果だけ見れば惨敗となるが内容はそうでもなかった。

失点シーンを見ても完全に崩された「やられた感」はなく、試合後のスペインの選手たちも苦戦を強いられ完膚なきまでに打ち負かしたとは思っていない。

ピチーチ
ピチーチ

スペインの先制点はGK小久保選手の腕に当たっていたのでゴールマウス外に弾いて欲しかった。

世界のトップレベルのGKであれば失点にならないシーンである。

細貝のオフサイド判定は微妙なものであのゴールが決まっていればスペインも慌てていたであろう。

試合の流れを決定づけたこの2つのポイントさえなければどうなっていたか?

結構いい勝負だったように今更ながらに思う。

今大会を通じて大岩監督をはじめ選手たちよくやったと賞賛すべきである。

オーバーエイジ枠を使わないでメダル獲得を試みる国はなく不慣れな18人登録・中2日の強行スケジュールでのこの結果は褒め称えるべきであろう。

負けたスペイン戦以外のグループステージの戦い方もA代表の森保監督にはない戦術・選手交代・ターンオーバー制をしていた。

この結果を踏まえて大岩監督を批判するのはお門違いで、監督としてこれからも期待が持てる人物で将来が楽しみである。

まとめ:4年後のロス・オリンピックにもオーバーエイジ枠は使うべきではない

この際、はっきりさせておいた方が良い。

今後オリンピックに選出するメンバー内にはオーバーエイジ枠を使わないということを。

過去に使ったり使わなかったりで試行錯誤していることはわかるがこの年代はあくまでもA代表に将来何人送り込むことができるかが最大の焦点である。

「オーバーエイジ枠を使わないでメダル獲得目指します!」はちょっと図々しい気がする。

「日本は育成メインなのでメダルが取れればラッキーです!」

こんな発言をする協会関係者および元選手たち(今は主に解説者たち)は一人もいない。

現状協会は中途半端な立ち位置でオリンピックに選手を派遣しているようにしか思えないので、今後のオリンピックの向き合い方もはっきりさせるべきである。

ピチーチ
ピチーチ

今年から協会会長に就任した宮本恒靖氏もオリンピックとW杯の両大会を経験した元選手なので率直な意見を発信してもらいたい。

本気でW杯ベスト8を狙うのであればオリンピックは育成と割り切るべきである。

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